「永代供養」という言葉は聞いたことがあっても、具体的にどういうことなのか分からないという方も少なくありません。
“永代供養”とは、簡単に言えば“墓地や納骨堂の後継者がいなくなっても、お寺や墓地管理者が責任を持って、永代にわたって供養すること”です。
しかし、お墓といえば古来より「子孫が代々に渡って受け継いでいく」ものとされてきました。なのにどうして現代では「永代供養」を求める方が急増しているのでしょうか?
その大きな理由として、少子高齢化・核家族化の進行や、一生独身で過ごす、いわゆる「おひとり様」の急増が挙げられるでしょう。
近年では「お墓の後継ぎがいない」「子どもたちに負担をかけたくない」といった悩みをお持ちの方、さらには、一人暮らしの方やご夫婦でも別々のお墓に入りたいという方も増えています。
またお墓を解体して納骨堂などにお骨を移す「お墓じまい」も増加傾向にあり、改葬後、永代供養を希望する人も少なくありません。
そんな「永代供養」について、これから説明していきましょう。
【屋外型】
その名の通り、屋外で永代供養をする方法で、永代供養墓、合祀型、納骨壇型、納骨塔型などがあります。
●「合祀型」…前方後円や墳丘の形をしたものなど
●「納骨壇型」…お骨を個別に安置する屋外型納骨堂など
●「納骨塔型」…塔の地下にお骨をお納めるタイプなど
屋内の建物の中に納骨し永代にわたって供養をするタイプです。
いわゆる納骨堂のスタイルである「霊廟型」や「ロッカー型」などが一般的ですが、土地が少ない都心部ではタッチパネル式でお墓を入れ替えてお参りできる「機械型」、位牌のみを配置する「位牌型」も見られるようになっています。
【合葬型】 |
【集合安置型】
|
【個別安置型】 |
合祀型とも呼ばれ、お骨を骨壺から取り出し、他の方と一緒に共同の墓所に埋葬する方法です。 一般的に価格が安く設定されていることが合葬型の魅力ですが、一度納骨すると他墓所に移すことが出来ませんので、慎重に検討してから購入しましょう。 |
一つの空間に、それぞれ個別の骨壺や個別の石碑などを建てて安置する方法です。お骨は個別に安置されますので、改葬や分骨なども可能です。 ただし、一定期間経過後に合葬型のお墓に移すケースが多いようですので、ご契約時にご確認ください。 |
いわゆる納骨堂タイプの永代供養です。 個別のスペースに個別の骨壺でお骨を安置して供養を行いますが、永代供養の場合、納骨後は管理料の支払いが不要となるケースが一般的です。 こちらも一定期間経過するとお骨を合葬型のお墓に移すケースが多いようです。 |
【墓石安置型】
一般的なお墓に、永代供養を付けるタイプです。お墓で供養することができ、後継者がいなくなった後もお寺や墓地管理者が永代供養をしてくれるので安心です。
【納骨壇型】
●仏壇型…一区画ごとに仏壇が備え付けられているタイプで、一般的な納骨堂の納骨壇がこのタイプに当たります。。
●ロッカー型…納骨スペースがコインロッカーのように区分けされているタイプです。
【自動搬送型】
ICカードなどをかざすと骨壺やお位牌などが動き、参拝スペースに自動的に運ばれてくるタイプです。近年、土地の少ない都心部などでこれを導入するケースが増えています。
【樹木葬】
ここ数年、人気を集めているのがこの樹木葬。墓標として樹木や草花を植え、その周りに納骨をする供養形態です。墓標の代わりに一人に一本の樹木を植えるタイプや、樹木葬墓地に象徴となる樹木を植え、その周りに複数の遺骨を埋葬するタイプ、樹木の周りに個別の骨壺で納骨し、墓石や石のプレートを設置するタイプなど形態はさまざまで、明確な規定はありません。
「樹木葬=樹木を墓標にした埋葬法」と考えている方が多いようですが、実はそれぞれに1本の樹木を植えるタイプの樹木葬霊園・墓地はあまり多くはないようです。
また価格も20~100万円程度まで様々ですので、まずは墓地管理者に詳しい内容をお問合せください。
【安心】
●後継者がいなくても安心
お墓の後継者がいない場合も、お寺や墓地管理者が永代にわたって供養、管理をしてくれるので安心です。
また、後継者が遠方に住んでいるなどでお参りができない場合も、お寺や墓地管理者が定期的に清掃し、花も活け替えてくれるので、お墓が荒れる心配がありません。
●生前でも契約できるから安心
永代供養墓の場合、そのほとんどが生前でのご契約が可能です。
また、契約後の管理費などの支払いも必要がないため安心です。
(※納骨までは管理費が必要なところあります。)
●たくさんの方がお墓参りをしてくれるから安心
合祀墓や納骨塔型などの場合、共有の祭壇に向かってお墓全体
へお参りすることになるため、たくさんの方がお参りをしてく
れます。
【低価格】
●合葬型、集合安置型の場合は、一般に購入費用が安価に
設定されています。
●購入後は管理料など追加の費用がかかりません。
※管理料が必要な永代供養もありますので、事前に
ご確認ください。
●永代供養墓や永代供養の納骨堂の場合、霊園はもちろん、お寺の施設であっても宗旨、宗派を問わずお申込みいただける場合が多いようです。
※門徒、檀家のみ、または特定の宗旨、宗派のみがお申し込みの条件となっている場合もあります。
※供養は、それぞれのお寺や供養を行う住職の宗派のしきたりに則って行われます。
●親族からの反対を受ける場合も‥。
「永代供養にする」と言うと、親族から反対を受けるケースもままあります。というのも、日本には古来より“先祖代々お墓を引き継いでいく”という文化が根付いているためで、購入者自身も「ご先祖様に申し訳ないのでは…」と考え、決めかねている方もいるようです。
しかし永代供養に対する理解は年々深まっており、永代供養をすることに抵抗を感じない方が増えています。
ですが、強引に決めてしまうと後々のトラブルの種になることも‥。ご購入の際はご家族・ご親戚ときちんと話し合ってから決めましょう
●一度合葬するとお骨が取り出せません。
合葬墓の場合、埋葬すると二度とお骨を取り出せなくなってしまいます。合葬墓以外の永代供養でも一定期間(17回忌や33回忌など)が過ぎると合葬される場合が多いようです。しっかりと内容を把握してからお申し込みください。
1.住職や管理者は信頼できる方ですか?
実はこれが一番大切なこと。
信頼できる住職、管理者でなければ、大切なお墓を末永くお任せすることは出来ません。実際に見学に行き、自分の目で確認して、分からないこと、疑問点などもしっかりと話を聞いてください。そうした中で「ここなら安心してお任せ出来る」と実感できるところを選びましょう。
設備・施設が整っている=いいお寺、霊園というわけではありません。ご自身や大切なご家族が眠る場所ですから、ご自身の価値観を大切にして場所を選ぶことも大切でしょう。例えば「心が落ち着く田舎の霊園、お寺がいい」「忙しいから合理的な方がいい」などなど。実際に見学して、それぞれの価値観にぴったりの霊園やお寺を探してください。
価格がいくら安くても供養が充実していなかったら意味がありませんね。価格は「高い」「安い」だけでなく、設備や供養内容に対して適正な価格であるかどうかが大切。。
お墓や永代供養にはいわゆる「相場」といわれるものがありませんので、うわべの数字だけに惑わされず、内容をしっかり確認してから購入してください。
一口で永代供養と言っても、実は霊園やお寺などによって供養内容が大きく異なります。
どのような供養を、どのくらいの頻度で行っているのか。合同供養祭は年に何回行っているのか。納骨後何年で合葬墓に移されるのか、法要の宗派は何宗なのかなど、しっかりと確認してください
口約束や、書類に不備があったりする場合、後々のトラブルの種になることも‥。
どんなに信頼できる住職や管理者であっても、必ず書面を交わし、契約内容を手元に残しておいてください。